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日本高齢者虐待防止学会に参加しました。

登壇者は、以下の3名です。

立正大学 森田久美子先生

一般社団法人 ダブルケアサポート 代表理事 東恵子さん

日本唯一 ダブルケアの総合相談窓口のある堺市から、堺市役所 健康福祉局 安斎智子さんです。



森田先生からは、ヤングケアラー、若者ケアラーの早期発見!支援サービスに繋げる必要性についてお話を伺いました。


ヤングケアラーとは、18歳未満でケアの責任を担っている子ども達を指します。若者ケアラーは、18歳から30歳くらいまでのケアの責任を担っている方を指すそうです。


ヤングケアラーの子ども達は、支援サービスを受けることで、親との別離の可能性や生活に不利益(他の子と環境が違うということを周囲に知られることで、いじめや孤立)のリスクを考えて、自分からはケアの大変さは言いづらい傾向があるそうです。


学校、ケアに関わる病院や社会支援先で、ヤングケアラーの早期発見に努めて、地域包括に繋げていくのも望まれるという話がありました。
その辺りも法整備や環境が確立されていないために、支援者側も支援のあり方について難しい点なのかもしれません。



ダブルケアサポートの東さんからは、ダブルケアラーの概要や当事者達の声をお聞かせ頂きました。


子どもの生まれるタイミングと親の高齢化が重なり、ダブルケアになる可能性を危惧して、子どもを諦める(人によっては不妊治療の中断を選択をされる方も)方もいらっしゃるという話がありました。


子どもを授かりたいと願う反面、ダブルケアになった時に子育て出来るか分からないので、子どもを諦めるという選択は苦渋の決断だと思います。大変だけど、大丈夫と言える社会を望んでいます。


堺市のダブルケアの総合相談窓口の担当者 安斎さんからは、ダブルケアによる離職防止の観点で実態調査を行い、窓口の設置に至った話をお聞きしました。



ダブルケアの当事者のヒアリング調査を行なっていると、ダブルケアの総合窓口があると生活がコントロールしやすい、安心だという声が多く聞かれます。


堺市のダブルケア総合窓口には、全国の自治体から視察がいらっしゃるそうです。しかし、なぜダブルケアの総合窓口のある自治体が増えないのか?なぜ、堺市ではダブルケア総合窓口が実現したのか?


安斎さんに質問させていただきました。
考えられる理由は2つ。


1、堺市の場合、市長からのトップダウンでダブルケアの総合窓口の設置が進められた。


2、堺市の基幹型包括支援センターの全箇所(7箇所)に、保健師を配置することができたそうです。ダブルケアのように子育て、高齢者、(障害)の課題を含む課題にも支援できるようになったことが成功事例に繋がっているそうです。


現状、総合窓口が設置されてからの状況については、後追い調査は行なっていないそうですが、相談事例の中で虐待を防げたケースが数件あったそうです。子育て支援と高齢者支援に関しても、複数の支援の調整は行いやすい環境にあるとお話を伺いました。


学会に参加させていただき、ダブルケアやヤングケアラーの支援に第一線であたっている、行政、民間支援団体、研究者のそれぞれの立場でお話をいただき勉強させていただきました。


代表 室津